かみさま、わたしは海を汚してしまった/ホロウ・シカエルボク
あぶくは、空襲の記録フィルムを、逆回転させているみたいに
なだらかな曲線を描きながら、届かない水面へとのぼっていきました
遮断された現実の世界の中で、わたしは
眩しくない光というのはこんなにも美しいのだということをはじめて知りました
永遠にも思える落下、その途中で、迷子になってしまうのではないかと思えるほどの、緩慢な
魚たちの態度はあまりにも素っ気なく、もしかしたらこの子たちはこういうことにはすっかり慣れっこになってしまっているのではないかとわたしは考えて
それはそれでなんだか世知辛い印象だ、などと、自分のしていることも忘れて
ずっとなにか、目を覚ましなさいと身体を揺さぶられ
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