詩の日めくり 二〇一六年三月一日─三十一日/田中宏輔
ては寄せる
百万の彼
彼の身体が
彼女の身体に砕け
彼女の身体が
彼の身体に砕け
血まみれになる
彼女と彼
寄せては返し
返しては寄せる彼
百万の彼の身体が
倒れかける彼女の身体を支え
あっちに傾き
こっちに傾いた
彼女の身体を支える
寄せては返し
返しては寄せる
百万の彼の身体
彼女のマンションの入り口
二〇一六年三月六日 「一日に、2時間か、3時間くらいしか働いていないよ。」
きのう、日知庵で、65歳のレディーたちお二人と、竹上さんと、はるくんと飲んだのだけれど、齢をいくことほど人間をおおらかにして
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