四月/はるな
大体同じ時間をさしていて、生徒たちはたくさんいる。わたしだって毎朝ちゃんと新しく怯んでしまう。その中に入っていかなければならないむすめのことを少しあわれに思いさえする。でもむすめはちゃんと歩いて入っていく、泣いたり、堪えたりしながら。むすめがなにを考えているのか、どういうふうに物事を感じているのか、もうわたしにはわからないのだった。
この春は鉢植えの球根を悉く枯らした。
家の中で泣いているあいだに、蘭も、羊歯の鉢も干からびて殺してしまった。
水をあげすぎて腐らせてしまうことは何度もある。わたしには、世界に対する加減というものがいまだによくわからないのだ。ずっと痛くて、痛いままいたから、痛
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