sonnet/朧月夜
 
雨、水、魚。……一本の糸でつながれて、
ぴたん、ぴしゃん、しゃらん。
わたしたちにはわからない音楽を奏で合っている。
それを聞いてごらん?

言葉はどこから来て、どこへ行くのでしょうね。
わたしたちには知り得ない、遙かに遠い何処かでしょうか。
本当は耳ではなく、心で聞いているのかもしれないのです、
わたしたちは。

ワスレグサの咲く高原で、ひとつの言葉が落とされました。
木、木登り、雲。そのどれかであったでしょう……
冬が過ぎ、春が過ぎ、夏が過ぎ、秋が過ぎて、また冬が過ぎても、

なお、心に思い出は満ち満ちているのでした。
少年と少女が聞き耳を立てます、草むらに何かがいるのでしょう。
言葉にならないその思いを、懸命に、取り上げようとして。
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