丘の上のじぶん/atsuchan69
 
痛みのある坂道を、
転校を繰り返しながら
遥か下を見下ろして
どうにか登ってきたつもりなのだが
もしかすると、
本当は転がり続けているのかも知れない
高校も一度、退学になったし
大学も三年の春にやめた
仮初めの住まいは、
いつも痛みのある町の近くだった
妻の出自はよく知らない
自分自身の出自も
たぶん似たようなものだ
有名企業に中途で入社した
痛みとは深い関係になり
それ以上につらい思い出をのこした
痛みから逃れるために
大勢の人へ痛みを拡散した
フェイスブックで目にした部下が
じぶんのことを書いていた
じぶんのことで苦痛を感じるそうだ
もっと苦しめばよい
それが嫌なら、
この坂道をいっきに駆け上がれ
そして遥か下を見下ろして
情けなく、ふうっと溜息をつけばよい

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