博士の結論/道草次郎
 
さらにはもう一つの銀河団も作った。これも大ヒット。そして…否、それにもかかわらず博士の欲望は満たされる事が無かったのである。

博士は思った。
さて、いつの間にやらこんなところまで来てしまった。うん、宇宙をもう一度最初から作り直してみよう。それぐらいしかもうやることは無いのだから。これは今までに無い大事業になるが、その分、見返りは大きいはずなのだ。

博士は、しかし、ここで一つの問題にぶち当たった。今度ばかりはスペースが無いのだ。非常に高度な計算の結果、宇宙の外には何物も存在しえないことが分かっていた。けれど、博士は何事も諦めることがきらいな人間である。

博士は一つの結論に達した。
どうやら宇宙は一つしか存在しえないらしい。

博士はそよ風の心地よい丘に立ち、若草の匂いを鼻から目いっぱい吸いこんだ。

博士はすべきことをしたのだ。

光あれ。すると光があった。
しかしながら、博士の姿はもうそこにはなかったのである。

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