メルヒェン/道草次郎
ねえ、三人の小人さん、あたし秘密を埋めたいの。何処かいい所を教えてくれない?」
三人の小人はニッコリ微笑むと、暖炉の方を指さしました。
少女は礼を言い、その小柄な体を暖炉の中へ押し込みました。
「ここね、ここがいいのね?」
少女は小人にむかって言いました。しかしその時には、すでに、小人たちの姿は何処にもありませんでした。少女は驚きました。
ですが、暖炉の灰の中から突き出ている三つの白いものに目がいくと、あっと息を飲みました。なんとそれは三つの小さな髑髏(されこうべ)だったのです。
少女は少しして落ち着きを取り戻しました。髑髏(されこうべ)を手に取ると、額の部分に口付けをしました。そして、つごう六つある耳の窪みに一文字ずつ言葉を吹き込みました。
「こ」「ろ」「し」「て」「や」「る」
森がありました。
今日も、小鳥たちは楽しそうに鳴き、そよ風は林を軽やかにわたってゆきます。陽もキラキラと煌めいて愉快そのものと見えます。
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