つぶやかない(三)/たもつ
な砂糖菓子と
署名の無い引継書
新しい言葉で
暮らしは語られ続ける
(午後6:38 ? 2021年3月28日?)
未明のラジオ放送が
春の終わりを告げている頃
眠っている人も
目を瞑っているだけの人も
瞼に幸福のようなものが
降り積もっている
目を開ければ多分
すべて忘れてる
(午前6:55 ? 2021年4月9日?)
おさむさんがいたので
おさむさん、と声をかけると
おさむさんはいつものように
大好きな鉄鉱石の話を始める
もっと良いものがあるのに
と言うと
色や形に疲れてしまったのだ
とおさむさんは言う
褒めて欲しかった人のほとんどは
気がつくとどこにも生きていない
ゼリー状のバスに乗る
もう戻らない
(午後6:21 ? 2021年4月14日?)
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