つぶやかない(三)/たもつ
 
べて流れ出してしまう
午後は草のためのお墓をつくった
併せて案内状も書いた
(午前6:53 ? 2021年3月17日?)


窓をつくった
外ができた
どうしたら
向こう側に行けるのだろう
それが自分の目だと気づくのに
しばらくかかった
(午前7:10 ? 2021年3月19日?)


自転車を並べるていると
どれも軟らかくて
さっきまで生きていたように温かい
まだ若いのに
一緒に雇われている人がつぶやく
花の名前を言える人に憧れていた
何を手に入れても
こんなものなど欲しくはなかった
そう思っていた
(午後5:50 ? 2021年3月23日?)

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