ヨラさん(再録)/ひだかたけし
た
僕らは宇宙人なんだって!
僕はヨラさんに言った
ヨラさんは〈きっとその通りだよ〉と
ミミズがのたくったような字を
ノートに書いて見せ笑った
四年生のクラス替えを前に
ヨラさんは養護学校に転校していった
最後の日も僕はヨラさんの手を引いて二人で帰った
ヨラさんの手はそのとき温かく熱を持っていた
ヨラさんは帰宅途中ずっと泣いていた
ーいつものように片足をズルズル引きずりながら
僕はヨラさんが泣くのを初めて見た
僕はヨラさんの我慢強さと天真爛漫さが好きだった
僕はヨラさんが好きだったのだ
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