死後硬直の夢/ホロウ・シカエルボク
 
なかったのだろうか、もしかしたらもう私の部屋に届いているのかもしれない、ほどいて、ほどいて…私は狂ってなどいない、ほんの少し取り乱しているだけじゃないたった一人のお姉ちゃんがあんな死に方をして、まともで居るなんてそれこそ気が狂っているわ、誰かほどいて、どうして誰も来てくれないの、どうして誰も話を聞いてくれないの、私をここから出して、お姉ちゃんのところへ行かせて…


ナギサは同じ夜を彷徨い続けていた


カーテンの隙間になにかが見えた気がした、それは絶対に見てはいけないものだということがナギサには分かった、けれど彼女に出来ることはなにもなかった、誰も触れていないカーテンがゆっくりと開き、アイスピックが刺さったままのこめかみから血を流してにたにた笑っているアリサの姿が浮かび上がった、ナギサは悲鳴を上げた…


ひとつの悪夢が終わり、新しい悪夢が始まる
それがいつ終わるのかは誰にも分からない



タクトを振っているのは亡霊なのだから。


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