死後硬直の夢/ホロウ・シカエルボク
フィルムのようにここに張り付けられた
のっぺりとした
耐え難い日常だったのか
ディープ・パープルが聞こえる
開け放たれた
どこかの家の窓から
死体を発見したのは
妹のナギサで
彼女は腰を抜かし
錯乱し
小便を漏らし
悲鳴を上げ続けて
総合病院の
薄暗い
鍵の掛かるフロアーに担ぎ込まれた
いまも
あまり
良い状態ではないらしい
親族はそれきりだった
窓には
焼けて溶けた
プラスティックのような
蝸牛が居て
饒舌な空っぽの部屋の中を
覗き込んでいた
ずっと
ただ
ずっと
耐え切れず破裂した人々の魂は
行くべきとこ
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