モノクロの天国と極彩色の地獄/ただのみきや
に包まっている
浦島
光の水槽で炭酸水が弾けている
遠い休日の朝
終わらない一日を求めて旅立った
あなたは
墓地で目を覚ます
忘れられた花束
終わらない そして
想い出せない幸福に捧げられた
長すぎる余生
狂った磁針の放浪者
暮れかけの墓石に止まる
擦り切れた 秋の蝶
開け方がわからない玉手箱を胸に
印象の断片を訪ねては
どこからも追われてしまう
異端の巡礼者
土蜘蛛
血を遡る 舟は
ゆっくりと沈み
暗い水底から浮かび上がる
新月へと乗り換えて
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)