眼場馬の流木/アラガイs
連れてきて5年は経つだろうか
当初から敷き詰めた砂を蹴散らしては小さな魚を追い廻す
我が物顔で水槽の中を暴れ廻っていたおまえも
わたしの姿を見つけてはじっと動かなくなる
大きく成長するのもはやかった
こちらをキョロキョロと嫌らしい眼場馬さん
そんなおまえも最近は置物の穴に閉じこもっていた
いじけて地球の砂を荒らして
どこから来たのか おまえは
アフリカそれともアマゾン川
親の顔がみてみたい
老齢なんだよ 最近餌を食べてるのか
おまえ いったい、いつまで生きる気なんだ
そう思いながらも幾年月は過ぎて
ふと水槽に眼をやれば横倒れの長い孤木が
小さな黒目を開いたまま動かない
魚よ 死んだ、じゃない、ちゃんと死ねたんだな
網で吸い上げたら悪臭がたちこめて
ローリエ一枚添えて、ティッシュに包んだよ
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