表現と表現者の領域 −詩人たちの末裔 ?/アラガイs
に過去を振り返るような創作話しを持ち出すのかといえば、私小説と詩の境界には同じ表現としての空白地帯が介在すると思えるからなのです。
私はあたまの中で演じていた。それはいまから買い物に行くコンビニの中でも同じく物語として振る舞うことができる。道を誤るかも知れないし、路を変えるかもしれない。思い描くままに行動するかも知れないが、いまの私にはそうあるべきだとは判断もできない。
一人称による独白はそのどちらにも属して境界もない。私小説はある物語を題材にして話しが進められる。私の中を巡る物語の主人公や脇役たちは存在はしないかも知れないが、私という人物を通して鏡面の中には存在もしている。私は物語の中で彼ら
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