未詩集1/道草次郎
特段新しいわけではない
のであるが
人は人の辿る道をふたたび辿るべく人であることをなかなかよさない
そのことをすっかり認めた人のことを
なんと呼べば良いのだろう
それが分からないから
索して
見つからず
また索し
日々の丘陵をこうして
また
またいでここまで来ている
こうやって
ほら
覆いかぶさるように覗き込んでいるのが
じつは
他でもないなにものかなのだ
「湾岸戦争」
湾岸戦争が怖くて廊下でじっと時が過ぎるのを待っていた。一匹の蛾が仄闇から羽根をばたつかせやって来る。ずいぶん乱雑な飛び方でだ。まるで狂ったかのように薄暗い電灯へぶつかり、何度も体当
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