詩の日めくり 二〇一五年十三月一日─三十一日/田中宏輔
ガランガラン
まわしてヨゴレを落として
ペッと吐き出してやらなきゃならないなんて
損な人生送ってるわ。
あ
人生ちゃうわ。
洗濯機生送ってるわ。
でも
洗濯機のわたしでも
夢は見るのよ。
それは
きれいな洗濯機を口に入れて
ガランガラン
洗ってやること。
いつか
この詩を書いてる詩人の父親が
飼っているプードルをかごに入れて
そのかごをわたしの口の縁にひっかけて
わたしの口のなかの洗濯水を回したことがあるわ。
犬を洗った洗濯機なんて
わたしが最初かしら。
ああ
わたしの夢は
新しい
きれいな洗濯機を
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