詩の日めくり 二〇一五年十三月一日─三十一日/田中宏輔
。
くちびるにしたら嫌がられるかもしれないと思って、首筋にキッスしたら、首の後ろにおしゃれなタトゥーが入ってた。一度しか会わなかったけれど、かわいらしい男の子だった。「そこに存在するから」山に登る。山などないのに。一度だけだからいいのだと、むかし、詩に書いた。
完璧な余白を装って、言葉が詩に擬態する。℃の言葉も空白の意味と空白の音をもつ言葉だ。「めっちゃ気持ちいい。」魂から魂のあいだを完全な余白が移動する。魂と魂をすっかり満たす空白の意味と空白の音。「そこに存在するから」℃の言葉もだ。完璧な余白を装って。
PCのCを℃にすること。階段席の一番後ろからトイレットに移動する。空
[次のページ]
戻る 編 削 Point(16)