人鳥は濡れない足〜台詞付〜/アラガイs
なた、引き取らせていただくんですよ。わたしらは。売ろうが売るまいがどっちでもいいのです。この価格ならば買って損してもいいという、リスクの値札になるのです。この値段でお譲りなさいな。これ以上なら買うことはできません」。
極地の朝、読めない春に叫び
憤る波に浚われぬようにと円陣を囲う、我が子を守る雄たちの群れに、冬の嵐に陽が射す羽根の背、飢えが眼を覚まし餌を狩る雌親の、ペタペタと揺れる遠いあしもと 急ぎ足が聞こえる ペンギンたちの俯き
木枯らしが吹き付ける夜には厚底の靴を履き、薄い三日月の口もとを自転車でさまよう街 影に怯えたのは背中
薄情な道だ、と一人嘆いてみても、今さら誰も振り向いてはくれない満月の夜を
、喩えては後悔して眺めている わたしは
裸足では歩けないよ 素足でも歩けるの、夏の砂浜
寒い冬には靴下を厚く足先の凍えが温もるまで待てばいい 譲るなよ足もとを
そう気がついてからではもう遅い 人の足跡 。
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