コミュニケーションと詩/朧月夜
在する、という状況も起こり得ます。小説家や劇作家がしている仕事というのは、架空の存在であるとは言え、自分の中に何人もの人間を作り出していることだ、と言えます。
詩というのは、自分の心や思考の中から出てくる言葉を形にしたものですが、中国人は詩人のことを騒人とも呼ぶらしいです。この時の「騒」とは、心の騒がしさ、という意味であるそうです。
先に書いたように、人は自分の中に様々な心を有しています。完全であれ、不完全であれ、一個の対象として人間を思い描かない限り、自分の中でその人に対する「対処」の仕方を見つけることはできないでしょう。人の中には、完全な、または不完全な何人もの他者が存在するのです。
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