刷り込み〜緑色に輝く透明な空の彼方に・・・/草野大悟2
 
卵から孵った雛が、初めて見た太陽を母親と思い込むように、俺はあなたを好きになった。

中学二年の春、勝ち気な瞳をしたショートカットの女の子に出会いました。「サヨナラ」、その子と初めて交わした言葉です。大きな夕陽の中でした。彼女は体操部のレオタード、俺は学生服。体育館横の満開の桜の樹の下の水飲み場だったと思います。顔を洗ったのか、笑顔には、小さな夕陽たちが輝いていました。リスみたいな前歯が真っ白くのぞいていました。

それからです。すべてに対して傍観者だった俺に変化が起こったのは。毎日毎日、彼女のことを日記に書きました。声を聞き、笑顔
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