スパゲティのための試論/道草次郎
 
くつもの生やそれが辿って来た時間のドラマチックな融合と交尾に他ならない。粉チーズは淡い夢であり、タバスコはブレイクスルーとも言える。ミートソースとの絡みあいに付与される意味は、意味分節機能に於ける存在の受胎、ないしは符牒の措定である。スパゲティに比肩し得るスパゲティ的な存在様態は、本来的にはスパゲティの中にしかその展開を規定されないばかりか、スパゲティ的範疇を逸脱する限りにおいてはじめて成立する何ものかである。それは、おそらく口内における反芻と唾液の象徴として、限定的にスパゲティの中に構築される擬態概念に近似だ。



……書くことは、書いていない時の集積である。また、書いていないことは、書く時からの漏出である。



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