sonnet/朧月夜
冬の雨が何よりも嫌い。
言葉など出て来ない。ただ、ひたすらしのつく雨。
雨の音に目覚め、雨の音に眠る。
わたしは自動人形のようで、「叫び」というものをこらえている。
人の生きることの苦痛に、貴方に……、
より添うようにわたしは生きてきました。
決して、人の生きることの苦痛を、
蔑ろには、してこなかったつもりです。
それが今、自分の怠惰と放心のために、
捨て去ろうとしている自分もいるのです。
ただ、自分を守らんがために。
それが素直なわたしの現況です。誰も、
わたしを褒めなくて良いのです、慰めてくれなくて良いのです。
ひたすらに、ただ夜は暮れてゆく。それだけを見ているわたしなのですから。
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