口ずさむ/水宮うみ
 

0みたいに真っ白なタマゴを0で割って、世界にヒビが入った。



水が空へ昇っていくの不思議だな 降ってくるのは一瞬だけど。



点滴が天敵だった 晴天の商店街に数滴の涙。



雨上がりの眩しい公園で宿題のプリントを思い出していた。



数直線上で「奇遇ですねー」つって笑い合ってる奇数と偶数。



受けとった言葉が視力になったこと 重りになって動けなかったこと。



風よりも透明な声だったから、きみの笑いは夕陽にとけた。



きみの目が輝いていて、美しい景色が見えてるのだと思う。



新しい文を書くのに目的はいらなくなって、カーテンあける。



手のなかの不安が少し温かい ひとりで歩く命と夕焼け。



とても綺麗な短い文をつくりたい そこから春が始まるような。



口ずさむようにその文を繰り返し思い出してる 短い歌だ。


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