淫雨/あらい
 
私の肩に架る琥珀色の雨が降り続いている
 それをただ描かれた水面が凪いでいくように、と願い
  果てまでも眺めている
   透過するわたしと糖化するあなたの影が
    一筋の蝋燭に反芻してここに点く
橙のかほり誰そ彼の思ひ出。祖は解かず 離れず
  まあかに揺らめくと信じては誣いる、所詮吐露よな、済し崩しの世だ。
    そこは何れ緋雨とある。

わかってはいるのだが まだ酔わせてくれ
応えを求めないまま 薄墨に紛れ、雫の如く伝う塒に仕舞う
屹度瞬きの程に白亜には悠いが似合う

 歪む僻地は未だ薄ら寒い泥濘み、鬱蒼とした希望の丘陵までを膿む
 陰雨はとめどなく我が庇
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