今日からは道の駅には寄らない/山人
 
香のような雪がちらついていた。長い辛い冬だったし、決して納得できる仕事内容ではなかった。でも、その時その時に私は必死に食らいつき、教えを乞い、まさに虫のように動いた。これ以上、自分に何ができただろう。一回のミスで、ずっとやらせてもらえなかった作業も今月に入り、さほど苦労なくできるようになった。このことが私にはとてもうれしく思え、それなりに自己満足を得た。もちろん上司や同僚の、私に対する評価など期待していない。それよりも自分自身への納得が唯一無二であると感じる。
 今日は休み。明日からしばらく、変則的な元の職場での勤務となる。
 
 遠い国の森のジャングルで裸のまま、ふるえながら木の袂に隠れて身を寄せていたような、あの、道の駅はもう消滅した。

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