ロザリーはスクラップ工場の外れで/ホロウ・シカエルボク
も、そのあとはなにも聞こえなかった
なにかが崩れた音を聞き間違えたのかもしれない
腕のどこかで白い骨が露出したとき
鈍い感電みたいな感覚を覚えた
折角だから神に祈りましょうか
神様、これが運命です
宿命です、そうでしょう
そうでしょう?
お気に入りだった
薄い金色の髪飾り
ベージュのコート
チェックのスカート
ブルーの靴下
白いパンプス
すべて
どす黒いなにかに変わってしまった
蓄音機のように世界は鳴り続ける
パトカーや救急車のサイレン
消防車も
誰かの悲鳴
笑い声
酷いいらだち
野良犬
野良猫
家の無い人たち
空缶
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