反省なんかしない/ただのみきや
 
よりも
生の昇華のための
残り滓と認めていたい
なんて真っ赤な
嘘もまことしやかに






目交尾

わたしたちは見る
互いの中に
囚われた己の姿を
愛という
悪しき慣用句を用いる前
瞳を縫い付けた
見えるはずのない月
あるはずのない姿
向かい合うタツノオトシゴの
背中に生えた群青の翼
わたしたちは互いを身ごもった

完全は完成する
結婚もセックスも共同生活もなく
わたしたちは仔たちを放出した
夜は天と地をひと繋ぎにし
時の奥行は海
開いて 閉じて
どこまでも終わらない
紐付いた記憶が
抜け殻みたいに透けて
相殺する衝撃
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