インテグラルが死ぬ前に/月夜乃海花
 
桜が大きくなったよ!と笑ってた
花屋の花がこっちを見てと微笑んで
店員は口を糸で引っ張られて笑顔で
ただそれを茫然と視界に入れて
空はただただ衒ってさ

独り、ただただ脚を動かす
他人より白い肌を眺め
もしかしたら私は人間じゃないのかも
なんて笑ってみた
試しに指を少し切ったら赤くて
多分人間なんだろうと結論づけた

人と話すとき、私は何を言っているのだろう
まるで宇宙語のように聞こえはしない
店員は同じテンプレートを繰り返し
私は意味もなく笑顔を繰り返す
どこかのRPGのように

繰り返し、繰り返し
オルゴールのネジを回した
人生の繰り返し、積み重ね

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