廂間の送り火/あらい
「少し、お時間をいただけませんか」
そう言って翁は腰を下ろしたまま、見上げている
なにもない時に滑り落りた砂を 固めただけのトンネルに、
置いていかれた心地で。
―― ぽたりと漏らした
寸とする精彩画 永遠に轟かす為に 小さき籠の中に眠れる
餓鬼(ジャリ)のように。
僅か膨れた胸にひたむきに悔いを射ち 私をすぼませた時、
ぐうと 帰趨(きすう)を惹き 縫い留めたものだ。
背の翼の汎きこと 透かすもの。
形にも満たくなし おもいごと
中ほどにピンを指す、これが点
たしかに 私共々焼いてしまえればよかったのに
枯葉や朽木は群がり暖を採るのが常、
ただ火花ばか
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