詩集1/ナンモナイデス
しまう 以外に
この世での 男と女の 楽園は たぶん
どこにも 開かれて などいない のだろう
と思われる
詩人とはそういう者
ちょっと真面目な詩を書けば
誰も読まない
少しエロい詩を書いてもそのようだ
みんなオリジナルな
詩を望んでいるにもかかわらず
結局は平凡なありきたりの
なんの思想も無く
なんの叫びも無い
今だけの快楽を共有するだけの
矮小な詩を望んでいるかのようだ
一瞬きらめきすぐに忘れ去られる
それがわかっていても
詩は書き続けられるのです
いくら技巧的に優れていても
有名作家の詩であったとしても
それは自分の詩ではないからです
だから今日も私は
私の詩を書くのです
勝者の贋物さを嗤うために
勝ち馬に乗って有頂天の騎手が
振り落とされ昇天していくのを
嗤いをこらえながら
見送っている観客の
一人のような
秩序の破壊者で
あり続けたいのです
詩人とはそういう者だ
と思うのですが…
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