アルファベット奇譚/道草次郎
 
台所で支度をしていたら
アルファベットたちが
まな板の端っこを
ふらふらと歩いてきた
みんな
疲れきっているように見える

誰かが落っこちた
また
落ちた


次から次へと落ちていく
最後に残ったのは
……
H

I
この2人だ
2人はまな板の真ん中にくると
肩を組んだ
(HI)
ぼくに手を降っているではないか
思わず
こちらも手を振り返してしまう
?やあ?
2人は慌てて
ちがうちがうという素振りをする
逆だ逆

(IH)

振り向くと
ガスコンロから火が上がっていた

FIREでいいのでは?
と思いつつも急いで
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