エミリー・エミリー/いとう
ミリー
あなたのことならなんだって知ってます
ねぇ エミリーあなたは
生まれて来たかったのですね
そうなんでしょう? エミリー
エミリー
あなたとは
人生の至るところで出会いました
必然とは言えない偶然の確率
望むと望まざるにかかわらず
泡のようなあなたは
たゆたう流れの中で
最後にエミリー
白状しますエミリー
私はまだ準備ができていないのです
あともう少しで逝くというのに
私はまだ怖いのです
エミリー
だからエミリー
もう一度
私を蹴ってくれませんか
押し出してくれませんか
羊水の中のあなたの小さな足の感触を
私はまだ覚えています
そして約束します
エミリー
私はもう何もわからない胎児ではないので
エミリー
今度は一緒に
二人で一緒に
次の世界へ
エミリー
エミリー
戻る 編 削 Point(63)