たそがれメセナ/あらい
夕暮れは虹色の未来を映し、曇天な過去を模造する
どこへ向かうのかその視界をのせて、
なにを泣いているのか、何故に枯れ葉散るのか
ひとつの木に漂着した夢を見た、気がする
靄の中を奔り続けたような無駄に狂おしい憐憫を残して
余りある時を、
それでも尾をひくばかりの振動に微睡みながら此処まで
斜陽はとめどなく列車を曳き、
そこで車窓の飽いた隙間から零れた生温い世迷言と、
その日最後の光が散った。
ほら今日の弧の火は偶然か必然か、やつれた蝶が死んだ
憐れでもなく儚くもなく、唯堕ちて失くしたものである
ただいきていた、
だけだった、
(ウンディーネと躱す、こともなく
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