詩の日めくり 二〇一五年九月一日─三十一日/田中宏輔
 
アポリネール『二十日鼠』堀口大學訳)


二〇一五年九月三十日 「吉田くん」


 吉田くんは、きょうは、午前5時40分に東から頭をのぞかせてた。午後6時15分に西に沈むことになっている。

 吉田くんが治めていたころの邪馬台国では、年100頭の犬を徴税していたという。そのため、吉田くんが治めていた時期の宮殿は犬の鳴き声と糞尿に満ちていたらしい。犬のいなくなった村落では、犬がいなくなったので、子どもたちを犬のかわりに飼っていたという。なぜか、しじゅう手足が欠けたらしい。

 吉田くんは太く見えるときは太く見えるし、細く見えるときは細く見える。広口瓶に入れると、太く見える。細口瓶
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