詩の日めくり 二〇一五年九月一日─三十一日/田中宏輔
二〇一五年九月一日 「明日」
ドボンッて音がして、つづけて、ドボンッドボンッって音がしたので振り返ったら、さっきまでたくさんいた明日たちが、プールの水のなかにつぎつぎと滑り落ちていくのが見えた。明日だらけだった風景から、明日のまったくない風景になった。水面をみやると、数多くの明日たちがもんどりうって泳いでた。
プールサイドには、明日がいっぱい。明日だらけ。たくさんの明日が横たわっている。ひとつの明日がつと起き上がり、プールの水のなかに飛び込んだ。プハーッと息を吐き出して顔をあげる明日。他の明日たちがつと起き上がって、つぎつぎとプールの水のなかに身を滑らせた。ドボッ、ドボッ、ドボ
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