やわらかな痕跡/
道草次郎
波間に
かき置きして
いつもの行動範囲から
少しはみだしたところを
回遊して来たら
ぼくんちでは
ぼくの
葬式を出していた
しょうがないから
ぼくは
ぼくんちのまわりを
グルグル
まわった
来る日も来る日も
ずっと
まわり続けた
いつの間にか
痩せて
小さくなってしまったが
それでも
何億年間かは
まわり続けたとおもう
今もまわっている
ほら
きみの耳たぶが
じつは
ぼくだ
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