溶けかけのビー玉/
里乃アキラ
僕が灰になってしまえばいいのに。
そうしたら、もう誰も傷つかなくて済むのに。
何故
まだ僕は、ここにいるのだろう。
硝子のドォムの中で溶けてゆくビー玉は
淋しそうに、けれど嬉しそうに
自らの存在を滅ぼしていった。
僕のかたちは、どうすれば溶けるかな。
雨に溶ければいいのにね。
なにもかもなくなって
僕なんか溶けてしまえばいいのに。
そうしたら、もう誰も悲しまなくて済むのに。
なのに
何故
まだ僕は、ここにいるのだろう。
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