3.3.メモ/道草次郎
だ偶然のみがそれをいなす。そして偶然に忠実であることの根も、既にして偶然に拠っており、偶然の総体としてのみ意志は成立する。偶然と意志の違いは、だから、個と総体の違いである。個の集合は総体ではない。総体は個の融合である。意志とは、無数ある偶然事の多次元的結合にほかならない。人が意志する時、それは偶然の糸を手繰ることである。紡がれる理性という生地に、再び意志という謙虚さの染色を施すことが、偶然への節度ある態度なのかも知れない。
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我々は、我々に出来ないことをもっと探そう。まだ陽が高いうちに。
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