詩の日めくり 二〇一五年八月一日─三十一日/田中宏輔
のスイッチを入れると
起き出して
洗面台の前に立った
この詩人は自分の目の下のくまをみて
洗面台の引き出しから
マスクと詩人キラーを取り出して
部屋にもどると
部屋のなかで朗読している詩人たちの顔に振り向けて
シューっとした
すると詩人たちの声が消えた
詩人たちは口をパクパクするだけで
音はまったく聞こえなくなった
この詩人はこれでようやく眠れるや
って思って床に就いた
でも
詩人たちの姿が消えたわけではなかったので
やっぱり眠れなかった
新しいやつ買おうっと
こんどのやつは詩人の姿も消えるんだっけ
そう思ってこの詩人は
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