図書室のゆめ/佐々宝砂
 
ときどき図書室のゆめをみる
二階に保健室があったり
一階に玄関があったりする建物は
昔通った小学校の木造校舎に似ていて
でも階段はコンクリート製で
どの窓も大きくひらかれて
わたしは幾度も落ちそうになる

図書室はたいてい四階にあって
木製のドアは閉まっていることが多く
そういう場合には
ドアにちょっとした札がかけてある
たとえば 清掃中です とか

入れないときのほうが多いけれど
たまたま図書室のドアが開いたとき
そこには女性ばかりがいる
なつかしい
奇妙な匂いが漂っている
木製のあったかそうな黒板に
緑の文字で注意書きが書いてある

本は子ども向きのものが多い
てのひらにおさまりそうな絵本
片手で持つのがしんどいような重量級ファンタジー
どれも知らない本ばかりで
どれもとても面白そうで
どれもきらきらするイラストに彩られて

わくわくして本を抱え込む

わたしはとてもしあわせでいる
目醒めるまでは

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