夕景未知/ひだかたけし
 
茜の斜光の残像が
余韻響かせ揺れ動き
赤胴色に燃える富士山が
傾く夕陽に落ちいくとき
私は覚えずひざまづき
褪せて青澄む天仰ぐ

あゝ秘匿された未知なるものよ
おまえは今日もヴェールに覆われ
深い闇へと沈んでいく
幾数億もの死を呑み込み
幾数億もの生を吐き出し
この循環する世界を貫く
眩暈するよな高貴さで
深い眠りを守護するため
彼岸の国へと帰っていく

茜の斜光の残像が
余韻響かせ揺れ動き
赤胴色に燃える富士山が
傾く夕陽に落ちいくとき
沸き立ち充ちるこの世の未知
現象する界を抱きしめて
歓喜の涙で濡らしていく








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