夜ごと日ごとにつれづれに/こたきひろし
十八九の小娘に惚れた
俺三十五歳
馬鹿の見本か
失うもの
何も持ってないと怖いものが何もなくなるって
まさに俺の事か
土台最初から相手にされる訳ないのによ
人に自慢できるもの何も持ってないんだぜ
俺は父親にさんざん言われてきたんだ
ブ男
金無し
力なし
学歴もない
アッチだけは立派だけどよ
女は下の口さえ満足させればそれでいい訳ないからな
胃袋充たしてやんねぇと
付いてくる訳なかっぺ
てさ
あのさ
それって父ちゃんあんたのせいでもあんだろう
父ちゃん
俺はあんたの劣性遺伝か
優性遺伝子か
どっちにしても責任ない訳ねぇよな
十ハ九の小娘に惚れた
俺は三十五歳
馬鹿の見本だったよ
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