詩の日めくり 二〇一五年七月一日─三十一日/田中宏輔
したちが街を捨てて
出て行かなければならないのですか。
あのひとたちの言うとおり
主が、あのソドムの町のうえに
ほんとうに火と硫黄を振らせられるのでしょうか。
あなたは忘れたのですか。
わたしたちのこれまでの暮らしぶりを。
わたしたち家族の暮らしぶりを。
主の目に正しい行いをし
正直に真面目に暮らしてきたわたしたちなのですよ。
なぜ、逃れなければならないのでしょう。
ロトよ。
わたしには忘れることができません。
ぜったいに、わたしには忘れることなどできません。
こうして、あのひとたちの言うとおり
あの町を捨てて、出てきたわたしたちですが
振り
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