讃歌/ひだかたけし
 
増殖する欲望が雨降りに濡れていく
無数の情念が沸き立ち煮え立ち
底無しの暴威を露わにする

雨はいつしか雪に変わり
燃える欲望を彫塑して
小高い丘の十字架に張り付け
どよめく人々を凍結する

残された者たちが思い描く夢に
精霊たちは跳躍し
「人間の本質が
遥かな果てにまで流出する」*
宇宙の讃歌に導いていく











*ルドルフ・シュタイナー『遺された黒板絵』より
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