4号線を下って-都をば/Giovanni
朝からずっと走り続けて
シングルのエンジンの振動に
飽き飽きしてしまった
4号線をとろとろ走り
気づけば白河にかかっていた
都をば霞とともに立ちしかど
秋風ぞ吹く白河の関
不真面目な文学部の僕でも
能因法師の歌くらい知っている
想像でこの歌を作ったこの人に
三途の向こうでいつか自慢してやろうと
白河の関へとハンドルを切った
どこまでも鬱蒼とした森を行く
その向こうに開けた景色の向こうに
古い石の遺構ばかりの
古びた関の跡が現れる
遠く離れたかった
忌まわしい街の空気にも
冷酷な女の綺麗な横顔にも
追従して愛想笑いする自分にも
日の傾き始め
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