詩の日めくり 二〇一五年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
う女吸血鬼の話だっていうから、避けてたのね。あまりに痛々しそうでさ。でもないのかな? フィリップ・ホセ・ファーマーは、日本で出版されている翻訳本をコンプリートに収集した何十人かの詩人や作家のうちの一人。『淫獣』シリーズを読むのが、もっとはやければよかった、というような感想がもてる作品であればいいなって思っている。(中座)ファーマーの『淫獣の幻影』を100ページちょっと読んだ。車の出す排気ガスで、街に住む人間がどんどん街から脱出しているという設定のなかでの吸血鬼物語。いまだったら「排気ガスで街を脱出」みたいな設定が馬鹿げてるもののように思えるけれど、作品が書かれた1986年当時はそうではなかったのだ
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