過ぎた日の空/番田 
 
昔フランスの小さなドミトリーに泊まったあの日。朝、そこで食べたパン。街並みはイギリスとよく似ているけれど、少しだけ違うのは、人々だった。ちょっとだけ、愛嬌はあったのかもしれない。まだ、あの頃は若かった僕。誰かに何かを主張するような声や言葉は、まだ、いくつか持ち合わせていた。出会ったり、通り過ぎていく彼や彼女のように。筋骨隆々としていた肉体美を誇示する、あの、でも、石膏像のように。
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