にごり水もみず/道草次郎
「蝿」
打ち沈んだ脳梁の遺跡群に一匹の蝿が迷い込む
神経質な迷路は死相を
その顔にふたたび浮かび上がらせる
魘されたアルトーの夢のように朝が来て
朝はまだ夜を殺しきれない
閉ざされたカーテンを切り刻むと
論理的な斜光が差し込み
月賦のあることと
生活のおもしがあからさまになる
みんな蔵書はもやせばいいのだ
一つのこんなにも増長した意識体を構成するため
宇宙はここまでになったとしたら
宇宙のしていることはまるで露悪そのもの
そう、露悪そのもの露悪そのもの露悪そのもの
何度でもいってやろう
この軍手はもうすっかり泥もみずもふくんでぐちゃぐちゃだもの
このうえまたそ
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