更けゆく夜の魚へ/道草次郎
 
人をきずつけ
傷つけたくせに傷付いて
そんなことをかんがえて
夜はまだ更けもしない

とりかえしのつかない
いったいどれだけ多くの
星が空にまたたけば
星座の焉(おわ)りは来るのだろう

おしゃべりな熊たちは皆
めいめいの島へ戻り
それぞれにちがった
けれどもどこか似ている
筏をつくっている筈

ひとりである事が
だれにとってもの何かならいい
支流となり頬ずりする時間
テクテクと歩いてゆく
薺(なずな)のようなてくてくの道

戻る   Point(3)